銀座の上を走る「東京高速道路」の謎! なぜ建設時に境界線が引かれなかったのか
銀座ファイブは、年末の宝くじ売り場としてにぎわう西銀座チャンスセンターが入っている商業施設である。この施設の住所は公式ウェブサイトにこう記されている。「東京都中央区銀座5丁目1番先」。いったいなぜか。
銀座ファイブの謎住所

銀座ファイブは、年末の宝くじ売り場としてにぎわう西銀座チャンスセンターが入っている商業施設である。この施設の住所は公式ウェブサイトにこう記されている。
「東京都中央区銀座5丁目1番先」
これは正式に登録された住所ではない。グーグルマップなどで住所を入力しても表示されないのはそのためだ。どこの自治体にも属さない未確定の境界なのである。このことは広く知られており、メディアでもよく取り上げられている。境界未定の理由も説明されている。そのひとつを引用しよう。
「「数寄屋橋」「新橋」「京橋」という地名が残ることからわかるように、銀座はかつて、外堀や汐留川などが流れる水路の街だった。しかし戦後復興期の1950~60年代、水路は次々に埋め立てられ、跡地にはビルが建てられた。その屋上には自動車専用の「東京高速道路(KK線)」が建設され、高架下には「有楽フードセンター」(現・銀座インズ)や「数寄屋橋ショッピングセンター」(現・銀座ファイブ)など数々の商業施設が入った。KK線ができる前、川の中心線が中央、千代田、港区の区境になっていた。埋め立てに伴い、区境をどこに定めるか3区で話し合われたが、一つの建物のど真ん中に境界線を引くわけにもいかず、60年以上にわたって、区境は未定のままなのだという」(『読売新聞』2020年9月28日朝刊)
この土地の話題になると、いつも同じ説明が繰り返される。しかし、これには疑問が残る。なぜ東京高速道路が建設されたときに境界線が引かれなかったのかということだ。