「乗るのにお金はいりません」 もはやバスは“運賃”で稼ぐのを止めるべき? 柏の葉700m無人運行が示す、公共交通の「新たな収益方式」
首都圏初の無人バス

2026年1月13日、千葉県柏市で首都圏初となる自動運転バスのレベル4営業運行が始まった。東武バスセントラル(東京都足立区)によるこの取り組みは、深刻なドライバー不足に直面する公共交通の省人化に向けた重要な一歩となる。ひとりの監視者がモニター越しに複数台を管理する「1対多」遠隔監視は、持続可能な事業モデルを作るための中心的な役割を果たすはずだ。
日本の地域公共交通は、深刻な危機に瀕している。地方バス路線の赤字率は70~80%に達し、人口減少による収益悪化とドライバー不足が相まって、路線の維持が難しい状況に追い込まれている。こうした窮状を打破すべく始動したのが、国の「RoAD to the L4」プロジェクトの一環である柏の葉エリアでの取り組みだ。
柏の葉キャンパス駅と東京大学柏キャンパスを結ぶシャトルバスルートの一部区間、約700mにおいて、レベル4自動運転バスによる営業運行が開始された。車両は、いすゞ自動車の中型バス「エルガミオ」をベースに先進モビリティ株式会社が改造を施したものを使用する。
汎用性の高い大手メーカーの車両を基盤に据えたことは、既存の整備網や部品供給ルートをそのまま活用できる点で、長期的な保守コストを抑え稼働率を維持しようとする経営合理性が働いている。国土交通省によれば、レベル4の自動運転は、特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを行うもので、最も自動化の度合いが高いレベル5に次いで高度な水準にある。
今回の事例では、運転席に監視役は座るものの、運転操作は行わない。運行は地元の東武バスセントラルが担い、産学官のプレイヤーが連携して実装を進める。これは実証の域を超え、既存の事業者が主体となって「特定自動運行」の認可を取得し、実際のビジネスとして運用する点に、事業形態の大きな転換としての意義がある。