「日本を裏切るなんて」 インドネシア初の高速鉄道開業でネットにあふれる軽薄な書き込み、建設支援は中国も、真の敵は“ヨーロッパ”である
中国の支援で建設されていたジャカルタ~バンドン高速鉄道がついに開業、10月18日から商用運行がスタートした。東南アジア初の高速鉄道ということで、日本のメディアからも大々的に報じられていた。しかし、記事のコメント欄やSNSには、中国、インドネシアを侮辱、罵倒するような声であふれかえり、目を覆いたくなるほどだった。
日本とヨーロッパの鉄道権益競争

オランダは、300年以上にも及ぶ植民地支配のなかで、鉄道を始めとした基盤インフラを整備してきた。今でも当時に作られた構造物の多くはそのまま使われているし、鉄道に関わる法令に規則、用語もオランダ時代のものをほぼ引き継いでいる。
鉄道を自ら作ったという自負があるなかで、戦後、日本が進出し、近代化を始めた。鉄道分野に関して、彼らの不倶戴天(ふぐたいてん)の敵ともいえる存在は、中国ではなく、
「日本」
といっても過言ではない。しかし、日本人の多くがこの状況をわかっておらず、日中の二項対立でしか考えていないのは問題だ。
1970年代後半から、まずはジャカルタ首都圏から日本は円借款(通常の民間金融機関の融資より低い金利で長期の資金を開発途上国に貸し付ける制度)供与によって鉄道近代化を始めた。それでも、地上側、つまり軌道、信号、通信設備関係の権益はヨーロッパが守った。
さらに、1990年代になると、政治工作により、日本製電車を引き続き入れる予定だったところ、オランダ製(HOLEC、後のボンバルディア)の電車を大量に導入することになった。その後、国鉄(KAI)に対する日本からの新製車両の導入は途絶えることになった。
ただ、幸か不幸か、このHOLEC車両が数年で故障し、使い物にならなくなったため、KAIのジャカルタ首都圏事業部(現在のKCI)は日本からの中古車両導入にかじを切ることになった。しかし、自らの手で作られた鉄道に1000両もの日本の中古車が走っているという事実は、オランダにとって内心穏やかでない。