EVシフトがこのまま進めば、世の中に「泥棒」が増えるかもしれない
今、銅が狙われている。ドイツ鉄道は鉄道沿線に敷いているケーブルの盗難により、2022年だけでも約10億円の損害を被った。
鉄道からケーブルが盗まれる時代

今、銅が狙われている。ドイツ鉄道(DB)は鉄道沿線に敷いているケーブルの盗難により、2022年だけでも約660万ユーロ(約10億円)の損害を被った。さらには、ケーブルの盗難が依然と続いており、2023年はすでに2644本の列車に影響して、700時間以上の列車遅延が発生している。
もちろん、ドイツで銅の盗難被害にあうのは鉄道だけではない。建設現場、教会、ガスパイプライン、リサイクル会社などにも被害が及んでいる。ドイツのリサイクル業者の団体は、ドイツでは顧客システムに銅の売買が記録されるため、盗難された銅はコンテナなどで海外に持ち出されているとにらんでいる。
犯行そのものが大掛かりとなり、その場で見つかるリスクを背負ってまでも銅製品を盗難したくなる背景には、昨今の銅価格の高騰がある。ここで、日本国内の売買の基準となる銅建値の推移(年平均)をみてみよう。
・2000年:233.6(円/kg)
・2010年:704.2(円/kg)
・2020年:700.2(円/kg)
・2021年:1067.6(円/kg)
・2022年:1202.4(円/kg)
このように、2021年に1000円台にのせ、2022年には1200円を突破して、わずか2年で約1.7倍にもなっているのだ。2000(平成12)年と比較すると
「約5倍」
であり、「銅なんて」と軽んじられていたのは、もはや遠い過去のことである。