EVシフトがこのまま進めば、世の中に「泥棒」が増えるかもしれない
今、銅が狙われている。ドイツ鉄道は鉄道沿線に敷いているケーブルの盗難により、2022年だけでも約10億円の損害を被った。
自動車のEV化で需要が高まる銅

気候変動対策や生活様式の近代化により、以前より増して銅の使用量が増えている。
電気自動車(EV)は、モーターや配線に多量の銅を使用している。国際銅協会(ICA)によると、ガソリン車は1台あたり約23kg、EVは約83kgと、EVは
「ガソリン車の3倍以上」
の銅を必要としているのだ。また、風力発電設備も銅の使用量が半端ではなく、国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、洋上風力発電所は
「ガス発電所の7倍以上」
の銅が必要になるという。
気候変動対策として
・自動車のEV化
・風力発電の拡大
が進むと、皮肉にも銅の需要が跳ね上がり、価格が高騰するジレンマに陥っているのである。
また、人口の多い国の近代化も銅需給の逼迫に拍車をかけている。JOGMECの国別消費量の推移のグラフをみてみよう(図)。
銅の国別消費量の推移をみると、2000年以降中国だけ、銅の消費量が異常に伸びていることがわかる。これは、工業化、エアコンなどの電気製品の普及、それにともなう発電・送電設備の増加と、中国国内の近代化によるものだ。
JOGMECの「銅ビジネスの変遷(2000年以降)」によると、2016年の実績でいえば、中国は消費した銅の約50%を電力設備に使ったとのことだ。この50%を量で例えるなら、日本で消費する量の
「約6年分」
に相当するという。
そして、次にはインドの高度成長が控えている。インドの経済成長により、銅の需要が今後ますます高まるのは確実であり、銅の価格は上がりこそすれ下がることはないといってもよいだろう。