無人運転の実現=「ドライバー・運送会社消滅」は本当か?【自動運転が運送業にもたらす未来#3】
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トラックドライバーと素人ドライバーの違いとは何か?

2020年4月、興味深い投稿をSNSで見かけた。
「新型コロナウイルスの影響で、自動車教習所も閑古鳥が鳴いているそうだ。指導員らは、トラックドライバーに転職するしかないな」──詳細は控えるが、つぶやいたのは社会的にも高い地位にある、人生の大先輩である。
その大先輩は、「自動車教習所の指導員ならば、大型免許を持っているだろう」と思い、トラックドライバーへの転職を示唆したのであろう。これに対し私は、率直に言うと、「こんなに優れた人にも、トラックドライバーって誤解されているんだな」と感じた。
免許があれば、トラックを運転できれば、トラックドライバーが務まる!?──とんでもない勘違いである。
確かに、指導員であれば、安全運転に関しては、下手なプロドライバーよりも上かもしれない。だが、トラックドライバーは運転だけできれば良いというものではない。荷役、すなわち貨物の積み卸しなくして、トラックドライバーの仕事は成立しない。
完全無人運転(レベル4以上の自動運転)は、運送の仕事のうち、輸送を担うだけである。荷役の自動化・無人化は、また別の話なのだ。
運送ビジネスにおける自動運転・無人運転、二つのポイントとは
運送ビジネスにおける自動運転・無人運転を考える上で、二つ留意すべきと考えるポイントがある。
一つは、運送ビジネスに本当に貢献できるのは、やはり無人運転であるということだ。
自動運転・無人運転のメリットには、安全な道路交通の実現もある。だが、酷な言い方を承知で言えば、「自動運転化して安全なトラックを買うから、運賃を上げさせてくれ」と言ったところで、承知してくれる荷主はほとんどいないだろう。
運送会社にとって、安全は絶対正義ではあるが、一方で財布は有限である。高額な自動運転トラックを購入するよりも、さらに高額でも、ドライバーの人件費を削減可能な無人運転トラックのほうが、メリットは明らかである。