成田からわざわざ「LCC」に乗るのは、本当にコスパがいいのか?
空の移動において、LCCは今や避けて通れない選択肢である。だが、その安さと便利さには“裏”があるのではないかという疑問が浮上している。
LCC利用への疑問

空の移動において、格安航空会社(LCC)は今や避けて通れない選択肢である。だが、その安さと便利さには“裏”があるのではないかという疑問が浮上している。
特に成田空港を利用する場合はそうだ。都心へのアクセス時間が羽田空港よりはるかに長いからだ。時間を犠牲にして得られる経済性は、本当にそれに見合うものなのだろうか。
LCCが利用する空港が都市から遠いのは、そのビジネスモデルの必然的な帰結である。LCCは1978年、アメリカのジミー・カーター政権が航空規制を緩和し、新規航空会社の設立と新規路線の開設を事実上自由化したときに誕生した。
そのビジネスモデルを確立したのは、サウスウエスト航空が生み出した、いわゆるサウスウエストモデルである。これは、小型機単一機材、短距離路線、片道運賃の安さを基本としたビジネスモデルである。世界中のほとんどのLCCがこのビジネスモデルを踏襲し、発展させてきた。
このビジネスモデルのなかで、LCCは複数の空港がある大都市で、セカンダリー空港(日本では成田空港と関西空港)を積極的に利用してきた。セカンダリー空港はプライマリー空港(羽田空港と伊丹空港)に比べて立地条件は劣るものの、混雑が少なく、利用料金が安いからだ(『運輸と経済』掲載の論文「アフターコロナにおける航空会社のビジネスモデル ─FSCとLCCの共同・競争の視点から」)。