成田からわざわざ「LCC」に乗るのは、本当にコスパがいいのか?
空の移動において、LCCは今や避けて通れない選択肢である。だが、その安さと便利さには“裏”があるのではないかという疑問が浮上している。
FSCより2割安いLCC

こうした徹底したコスト削減の効果がはっきりと表れており、2018年の国内航空会社のユニットコスト(座席キロ当たり費用)は次のようになっている。
・JAL:9.9円
・ANA:9.6円
・ピーチ:7.6円
・ジェットスター:8.6円
LCCは、JALやANAのようなFSC(フルサービスキャリア)よりも2割安いコストで運航しており、その節約分がそのまま運賃に反映されて低価格を実現している。その結果、LCCは利用者に低価格を提供する反面、空港へのアクセスや運航スケジュールが不便になるビジネスモデルである。
LCCが日本で顕著な存在感を示し始めたのは、2012(平成24)年である。特にジェットスタージャパンとエアアジアジャパンが成田空港から就航したのがそのきっかけだ。それ以来、LCCは遅延や欠航のリスクにもかかわらず、一貫して好調な業績を上げている。その結果、空の移動は非日常的な手段から鉄道のように日常的な手段へと変化した。
LCCの影響力は、新たな潮流を生み出すものとしてメディアでもクローズアップされている。具体例として、『読売新聞』2021年2月24日付朝刊は、LCCの影響で
「関西から関東の大学への通学」
「台湾から沖縄の美容室に通う」
といった新たな需要が生まれたことを指摘している。