「海運 = 時間がかかる」はもう古い? 2024年問題で「中距離フェリー」「RORO船」が再注目されるワケ

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2024年問題の対策として、海上輸送への注目は一段と高まっている。物流業界で有効な解決策と目されているのが、デジタル化の推進による効率化と海運や鉄道に輸送手段を移す「モーダルシフト」だ。

2024年問題で再注目

RORO船(画像:写真AC)
RORO船(画像:写真AC)

 2024年問題の対策として、海上輸送への注目は一段と高まっている。物流業界で有効な解決策と目されているのが、デジタル化の推進による効率化と海運や鉄道に輸送手段を移す「モーダルシフト」だ。

 なかでも、運転手の労働時間削減が注目されている。とりわけフェリー需要は伸びている。日本長距離フェリー協会(東京都千代田区)によると、フェリーによるトラックの輸送台数は2019年には124万7444台だったが、2022年には126万5917台となり

「1.5%」

増加している。現状はわずかな伸びだが、今後、海上輸送の利便性が認知されれば、航路が増え、さらなる輸送増が見込まれている。

 国内貨物輸送のうち海運(内航海運)は、欠かせないインフラである。2020年度の統計では、国内貨物輸送のうち

「39.8%」

を占めている。貨物自動車の55.3%に次ぐ、大きなインフラだ。

 2024年問題で注目されるまで、内航海運は将来的に縮小していく業界と見られてきた。内航海運の大部分を占めるのは産業基礎物資の輸送である。そのため、工場の海外移転など産業構造の変化が進むなかで、縮小は続いていた。また、寡占化された荷主企業に中小企業が固定化している構造になっており、

「自助努力で輸送需要が伸びる余地が少ない」

という業界独自の事情もあった。

 ところが、2024年問題は海運に新たな息吹を吹き込んだ。とりわけ、国土交通省では、モーダルシフトのなかでも海運の役割を重視した施策を続けている。これまで、「物流総合効率化法」に基づく海運モーダルシフト関係認定、モーダルシフトの優良事業者を認定する「エコシップマーク認定事業者」、さらにモーダルシフトへの先進的な取り組みを行った荷主・物流事業者に対し「海運モーダル大賞」など、さまざまな施策が続けられている。

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