「海運 = 時間がかかる」はもう古い? 2024年問題で「中距離フェリー」「RORO船」が再注目されるワケ
フェリーとRORO船の長所

新たに物流を支える海運のなかで、主力となるのがフェリーとRORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま運べる船)だ。フェリーとRORO船は、どちらも車が船内に出入りして貨物の荷下ろしを行うので、コンテナ船についで効率がよいものとなっている。
貨物を積んだトラックやトレーラーが、自走して乗り込み輸送できる点で、フェリーとRORO船はイコールである。大きな違いは
「旅客を扱うか否か」
である。
旅客を扱うフェリーは、海上運送法により「自動車航送をする一般旅客定期航路業者」になる。運賃および料金を国土交通大臣に届け出て運航しているものだ。対して、RORO船は内航海運業法が適用される貨物船(旅客定員12人以下)とされている。
貨物船のなかでも、貨物の積み(Roll on)、下ろし(Roll off)のためのゲート(ランプウェイ)を有する船がRORO船と呼ばれる。フェリーと異なり、原則的にはドライバー専用で一般旅客の取り扱いは行わない。以前は一般旅客でも申し込めば乗船可能な航路もあったが、現在は見られない(少なくとも公式には)
フェリーとRORO船にはそれぞれ長所がある。トラック運転手が自走して乗り込み、目的地に向かう場合にはフェリーの利点は大きい。ドライバー専用の客室のほか、レストランや風呂などの休憩設備が整っている。
また、労務管理上、航行中は休息時間として処理できるので拘束時間を削減することができる。なにより届け出を出した一般旅客を乗せる定期航路なので、定時性にも優れている。結果、モーダルシフト推進をにらんで、新規航路の開設も相次いでいる。
なかでも、注目されているのが2021年に開設した
「横須賀~北九州(新門司港)航路」
である。運営は東京九州フェリー(福岡県北九州市)だ。この航路の特徴は早さである。類似した東京~北九州航路は、平日の場合19時30分に東京港を出港、翌日13時20分に徳島港に入港した後、3日目の5時35分に新門司港に到着する。
対して、横須賀~北九州航路は23時45分横須賀港出航、翌日21時新門司港到着となっている。太平洋を最高速度28ノットで進み約21時間で到着するのである。