エアバスも「ゼロエミッション航空機」で本腰 “電動化”の波押し寄せる航空機産業の現在地とは

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世界の航空機産業は“電動化”が大きな技術開発テーマとなっている。そんななか、欧州では航空機システムに関する研究開発プロジェクトが2002年以降から実施されており、日本の研究機関でも諸外国に後れをとらないよう、航空機システムに関する継続的な研究開発が必要である。

欧米政府・企業との連携策

STARC-ABL(画像:NASA)
STARC-ABL(画像:NASA)

 経産省は欧米政府・企業と協力し、マッチングや共同技術開発支援を通じて、国内企業と海外企業の連携を強化する。同省は現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業を通じて、加工性に優れた炭素繊維複合材や、エンジンの効率化、航空機向け蓄電池等の電動化に関する技術開発を推進している。

 そして、エアバスは2035年に世界初の「ゼロエミッション航空機」の実用化を目指すとして、3種類のコンセプト航空機(ZEROe)を公表。2020年代後半までに、これらのプロトタイプを完成させる計画だ。三つのコンセプトはいずれも、液体水素を燃料として燃焼させる改良型ガスタービンエンジンと、ガスタービンを補完する水素燃料電池から構成されるハイブリッド型の推進システムとなっている。

 航空機用先進システム実用化プロジェクトでは、電動タキシングシステムにも着目している。航空機の地上での動きをつかさどるプッシュバック、タキシングにおいて電動化を進めることにより、エンジンの使用効率を最適化し、最終的にCO2の削減を視野に入れる。これにより、航空機の搭載燃料の削減や、混雑した空港でのCO2排出量を抑えることにつなげたい考えだ。

 航空機の事故率がここ10年で下げ止まりの傾向にある一方で、今後の旅客需要は増加することが見込まれているため、航空機事故の絶対数が増えていく恐れがある。

 航空機事故の主な要因は人的ミス(ヒューマンエラー)であるが、ヒューマンエラーを引き起こすのは、航空機に搭載された機器に何らかの異常が発生したことによるものが多い。

 このため、異常時においても自動で安全に飛行できるシステムが求められている。現在は、異常時にはパイロットの操縦技量に依存するため、異常時にも自動で安全に飛行できるシステムに関する研究開発が国外でも行われているが、これらの研究開発には、異常の検出や自機の位置推定における精度、信頼性、実機での実証が不十分であることが今後の課題だ。

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