津軽海峡フェリー復活、「室蘭~青森」の決め手となる需要は何か? 苦汁の過去も2024年問題で追い風か
「2024年問題」を背景に、北海道の室蘭港と青森県の青森港を結ぶフェリー航路が10月2日に復活した。2022年1月、室蘭港と青森県八戸港を結ぶフェリーが運休し、定期航路は消滅していた。
15年ぶりの復活

「2024年問題」を背景に、北海道の室蘭港と青森県の青森港を結ぶフェリー航路が10月2日に復活した。室蘭港では2022年1月、室蘭港と青森県八戸港を結ぶフェリーが休止し、定期フェリー航路は消滅していた。
それから1年8か月あまり、新たな航路が誕生した。かつて、室蘭港と青森港間には1967(昭和32)年に開設されたフェリー航路があった。一時は、所要時間2時間の高速船も就航している航路として話題になったこともあったが、需要不足のため2008年に運休している。したがって、新サービスは15年ぶりの復活となる。
いま、新たな航路の誕生には、どういう経緯があるのか。そして新ルートは北海道と本州を結ぶ主要な輸送ルートとしてどのような役割を果たすのか。2022年の航路消滅の背景にも踏まえて、考えてみたい。
あらためていうまでもないが、いま2024年問題によって海運への注目が高まっている。海運の最大のメリットは、ロードドライバーが船上で休息でき、法令に準拠した労働時間を設定できることだ。加えて、船舶は二酸化炭素排出量が少なく、脱炭素化に貢献するという点でも注目が高まっている。
このような社会的背景のなか、2021年7月に就航した横須賀~北九州(新門司港)航路は特に混雑しており、開設以来、物流事業者の利用が急増していることが注目されている。一時は高速道路に押され減少傾向にあった海運が着実に見直されているのだ。
室蘭~青森航路は日曜日の室蘭発(月曜日の青森発)を除き、毎日1日1往復運航される。室蘭発は20時、青森着は翌日午前3時。青森発は午前9時、室蘭着は15時45分である。この新たな航路には期待と不安とが入り交じっている。