「鉄道 + 自転車持ち込み」は日本で普及する? 鉄道会社はコロナ減収、今こそ再考のときかもしれない

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日本とは対照的に、ヨーロッパでは自転車の普及に力を入れており、各国でさまざまな施策がとられている。なかでも、自動車道から完全に分離された自転車専用道路や自転車走行帯を用意している国が多い。

自転車の問題点

自転車積載可能を示すオランダ鉄道の列車。ほとんどの列車が積載可能となっている(画像:橋爪智之)
自転車積載可能を示すオランダ鉄道の列車。ほとんどの列車が積載可能となっている(画像:橋爪智之)

 自転車は素晴らしい乗り物だ。自分の足でペダルをこげば、どこへでも自由に行けるし、健康にもいいし、燃料を必要としないので財布にも優しい。排ガスを出さないので環境にも優しい。全国どこでも自転車を使って旅するのは素晴らしいことだが、もちろん問題がないわけではない。

 まず、個人差はあるが、人には体力的な限界がある。燃料を積めば何kmでも走れる自動車と違い、走行距離には限界があり、行動範囲が制限される。

 もうひとつの問題は、自転車道の整備である。国土交通省によると、日本には4686kmの自転車道があるが、その大半は車道に併設されている。安全上の問題から、全国を自転車で自由に移動するのはなかなか難しい。

 とはいえ、田舎道を走るサイクリングは快適だ。都会の騒がしさから離れて、おいしい空気を吸いながらサイクリングを楽しみたいと思う人は多いだろう。そのためには、自転車を交通機関に積んで遠くの目的地近くまで移動するのが一番だが、日本ではなかなかそうはいかない。

 折りたたみ自転車は別として、鉄道車両に直接自転車を積むことはできず、前輪などを外して袋に収納し、車内へ持ち込む「輪行」しかない。折りたたみ自転車は、専用の袋に収納しなければ載せられないため、自転車が趣味でない人にはハードルが高い。

 JR東日本が2018年に房総地方で運行を開始したB.B.BASEや、一部の地方ローカル線では自転車の車内持ち込みが可能だが、これは例外的なものといえる。

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