芸能人はなぜ「ハワイ」によく旅行するのか? その背景にあった「楽園イメージ」の源泉を辿る

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ハワイの美しいビーチとリラックスした雰囲気は、日本の芸能人の間で人気だ。なぜか。ハワイ旅行の歴史からたどる。

ジャンボ機就航による恩恵と現実

ハワイのイメージ(画像:写真AC)
ハワイのイメージ(画像:写真AC)

 そして1970(昭和45)年3月11日、パンアメリカン航空が東京~ホノルル線の同機運航を開始した。史上初のジャンボ機の就航は、それだけでも大ニュースだった。

 1970年3月12日付の朝日新聞は、このジャンボ機が羽田空港に到着したことを一面で報じ、

「投光器の光に真っ白に浮かんだ“白鯨”のような巨体の迫力に空港は一瞬静まりかえるほどだった」

と書いた。空港には1万人が押し寄せた。

 しかし当時、ボーイング747の評判はあまりよくなかった。座席数の多さから、どの航空会社も敬遠していた。当時はどこも航空運賃が安く、多くの人が国際線を利用する未来は想定されていなかった。将来は座席数が少なく、コストは高いが速度は速いコンコルドのような航空機が主流になると考えられていた。

 実際、初期のボーイング747は先行きが不透明だった。前述のホノルル初飛行では、大勢の観客が集まったにもかかわらず、座席は60%ほどしか埋まらなかった。パンアメリカン航空に続き、日本航空も同年7月1日にボーイング747によるホノルル便(ファーストクラス40人、エコノミー321人、計361人)を就航させたが、座席は埋まらなかった。

 この巨大機材の座席を埋めるために本格的に導入されたのが「バルク運賃」である。これは、旅行代理店が40席以上の座席を一括購入する代わりに、運賃を大幅に割り引くという制度である。キャンセルは許されず、支払いは搭乗日の1か月前までという厳しい条件だった。その代わり、太平洋路線では40~48%、ヨーロッパ路線では60%という大幅な割り引きを提供していた。

 条件は厳しかったが、海外旅行を希望する顧客に低価格の商品を提供することは可能だった。日本交通公社はこれを利用し、ハワイへの団体旅行を低価格で提供した。目標価格は15万円以下。
 ホテルなどの直接仕入れに切り替え、4泊6日のハワイ旅行を14万6000円で実現した。

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