運転免許試験場の近くによくある「代書屋」 いったい何をやっている店なのか?
運転免許試験場がある地域には、ユニークな商売がある。その代表格が「代書屋」である。いったい何をやっている店なのだろうか。
代書屋が驚くほど儲かった時代

そのなかで、運転免許を専門に扱う代書屋が驚くほど儲かった時期があった。
戦後の復興期が終わった1953(昭和28)年7月4日付の朝日新聞朝刊に
「世はまさに自動車狂時代」
と題して、東京の自動車教習所が前年の10校前後からわずか1年で20校以上に増えたことが紹介されている。この志願者の急増が、警視庁運転免許試験場のある鮫洲の繁栄につながった。
「鮫洲街にはかつて、練習場のほか商売屋は四、五軒しかなかったのに、ここ一、二年でぐっとふくれ上った。十軒近くの飲食店を筆頭に代書屋、修理工場、写真屋、眼鏡屋、受験問題研究屋、それにパチンコ屋、旅館など、いずれも受験生目当ての二十数軒」(『朝日新聞』1953年7月4日付朝刊)
代書屋は何軒あったのか。品川区立品川図書館に所蔵されている1960(昭和35)年の住宅地図によると、鮫洲駅から試験場までの商店街に7軒あった。住宅地図で確認できるのがこの程度なので、実際の店舗数はもっと多かっただろう。
同じ地域に同じ業態の店が多いということは、代書屋がいかに繁盛していたかを物語っている。前述の朝日新聞によれば、大儲けした代書屋のなかには、副業を開業する者もいたという。そのほかにも、試験問題を予想する「予想屋」や「替え玉屋」、「カンニング屋」などの珍しい商売まであった。
こうした代書屋の繁栄は、制度が次第に確立されるとともに終焉を迎えた。とはいえ、まだまだ需要は尽きないのか、細々とではあるが商売は続いている。