運転免許試験場の近くによくある「代書屋」 いったい何をやっている店なのか?
運転免許試験場がある地域には、ユニークな商売がある。その代表格が「代書屋」である。いったい何をやっている店なのだろうか。
書類提出が困難だった昔

当時、コンピューターはまだなく、書類はすべて手書きだった。そのため、ひらがなの「さ」を「き」と書いたり、漢字の「亭」を「亨」と書いたりと、よく間違いが起こった。そのため、少しでも読みにくい文字があると、窓口に提出した書類はけんもほろろに断られていた。
今では運転免許証に限らず、住民票などでも窓口の担当者が「ここはこう書いてください」と丁寧に教えてくれる。しかし、役所がここまで丁寧になったのは平成になってからだ。昭和の時代は、窓口で書類を無事に提出するだけでも苦労の連続だった。
そこで大活躍したのが、代書屋である。昔は運転免許試験場だけでなく、一般の人がよく利用する役所の前にも代書屋が軒を連ねていた。
そんな代書屋に頼めば、わざわざ役所に行って何度も書き直す必要はなかった。そして不思議なことに、申請書は提出後一発で受理された。
「代書屋さんは大へんな繁盛で確実にもうかる商売のひとつに数えられています。(中略)代書屋独特の、あの字だと、文句なく窓口を通るのも不思議です。ここには、市民対役人以外に、役人の知り合いである代書屋という関係が隠れているわけですが、これはまず伏せておきましょう」(鬼頭礼蔵『日本語をやさしくしよう : よりよい生活と文化のために』くろしお出版、1968年)
今なら癒着として大問題になるが、当時は問題視されなかった。それゆえ、代書屋は役所の前に店を構えるだけで、客がやってくるのだった。