中国EV「奇点汽車」経営破綻 なぜ新興EV企業はすぐ没落するのか? 具体的な“4つの理由”を解説する
中国の新興EV・奇点汽車が破産したことが先日、報じられた。2021年には拜騰汽車が破産している。新興EV企業のために開かれた窓は、突然閉ざされようとしている。
新興EVが苦戦する主な要因
新興EVが苦戦する主な要因は、
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
・巨額の先行投資
・クルマ本来の性能への妥協
・供給過剰
・EVに消極的な消費者
の四つだ。それぞれ解説する。
●巨額の先行投資
自動車は開発と生産設備への先行投資が巨額で、しかも商品化までには長期間を要する。2003年創立のテスラは、2009年にロードスターを発売するまでの6年間に5億ドル以上の開発費を投入し、黒字化には2018年第3四半期まで15年を要した。開発資源ゼロの新興EVにとって開発費の確保は重要な課題だが、材料費や金利上昇の一方で車両価格を下げなければならない現実は厳しい。
●クルマ本来の性能への妥協
中国の新興EVが成功したのは、新車やハイテク機能を市場に投入するスピードを優先し、乗り心地、ハンドリング、完璧な品質等の伝統的な自動車の価値観にこだわらないからだと、アリックスパートナーズは分析している。
●供給過剰
米国の2023年第2四半期のEV在庫が前年同期比で342%増加している。EVの販売は伸びているが、市場に投入されるEV数に需要が追いついていない。中国政府は国内EV産業の発展に熱心だったが、今は生産過剰を懸念してテスラを含む自動車企業の工場増強に慎重になっている。
●EVに消極的な消費者
米自動車関連サービス会社のコックス・オートモティブによると、米国の自動車購入者の51%がEVの購入を検討しているが、実際に購入する割合は7%程度だ。購入に至らない主な理由は、
・急速充電インフラの不足
・ディーラーサービス体制の不足
の2点だ。