中国EV「奇点汽車」経営破綻 なぜ新興EV企業はすぐ没落するのか? 具体的な“4つの理由”を解説する
中国の新興EV・奇点汽車が破産したことが先日、報じられた。2021年には拜騰汽車が破産している。新興EV企業のために開かれた窓は、突然閉ざされようとしている。
破産の危機が忍び寄る新興EV
新興の電気自動車企業(以下、新興EV)のために開かれた窓は、突然閉ざされようとしている――。
中国の新興EV・奇点汽車(Singulato)が破産したことが先日、報じられた。2021年には、拜騰汽車(バイトン)が破産している。
米国では6月、ローズタウン・モーターズが破産した。米国の新興EVの2023年第1四半期の製造台数は、
・リビアン:9395台(年産目標5万台)
・ルシッド:2314台(同1万台)
・フィスカー:55台(月産目標6000台)
となっており、株価は約2年前のピークから8割以上下落。外部資金の獲得も難しくなり、破産の危機が忍び寄る。
新興EV、販売台数の最上位はNIO
2022年の世界のEV(プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV))販売台数は185万台だ。
1位の比亜迪(BYD)と2位のテスラ(BEV単独では1位)の2強で、新興EV最上位は蔚来汽車(NIO)の21位だ。
2022年第3四半期の1台当たり利益額を比較すると、9745ドルのテスラが、2150ドルのGM、1550ドルのBYD以下を圧倒する。中国の新興EV・小鵬汽車(シャオペン)は1万1735ドルの赤字、NIOも1万9141ドルの赤字だ。
利益率よりも利益額を優先するテスラの低価格戦略により、米国のEVの新車価格は2022年比で20%下落し、中国市場では、値下げ合戦に陥っている。
中国の経済専門紙は
「新興EVの淘汰(とうた)が始まっている」
と伝え、コンサルティング会社のアリックスパートナーズは
「中国でEVを生産する167社は、2030年までに25~30社に絞られる」
と予測する。