タンデム自転車「都内解禁」 駆動力は自転車の2倍も、ベテランサイクリストが危惧する「公道トラブル」とは

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7月1日、東京都内の公道でふたり乗り自転車(タンデム自転車)の公道走行が新たに認められた。どのような課題があるのか。

東京のみ未認可だった歴史

タンデム自転車(画像:写真AC)
タンデム自転車(画像:写真AC)

 2023年7月1日、東京都内の公道を走行する自転車に関する、新しい改正東京都公安委員会規則が施行された。具体的な内容は、新たにふたり乗り自転車(タンデム自転車)の公道走行が認められたことだ。

 実は日本国内において、公道でのタンデム自転車走行が未認可だったのは東京都だけだった。この決定で、日本全国でのタンデム自転車の走行が可能となった。

 タンデム自転車の歴史は長い。最初のモデルは19世紀末には考案され、市販もされていた。20世紀初頭には欧米を中心に相当数が普及した一方、主として構造的に脆弱(ぜいじゃく)だったことから、短期間のブームで終わったといわれている。

 その後、世界的にスポーツやレジャー用としてメジャーな存在となったのは第2次世界大戦後のこと。同じ頃には、日本にも一部のマニアの手によって極少数が持ち込まれていた。ただし日本において、スポーツサイクルの一ジャンルとして一般にも知られるようになったのは1960年代以降のことである。

 一方、タンデム自転車での走行が許可されるのは、

「専用のクローズドコース内のみ」

という時代が長く続いた。

 理由は、ふたり乗りでの安全性が確認できなかったことといわれている。日本国内において、公道でのタンデム自転車の走行が初めて認められたのは1978(昭和53)年。長野県でのことだった。

 それ以降、非常にゆっくりとしたペースではあったが、公道走行化の流れは全国に波及して行くこととなる。特に2012年以降になるとこの動きは加速し、2019年から2020年に掛けて、多くの道府県で認可されることとなった。そうしたなか、最後に残されていたのが東京都だったというわけである。

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