「電動キックボード反対」の声にみる日本社会の“停滞感” 危険デメリットに捉われ、変化を拒んではいけない

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7月から、日本でも電動キックボードが運転免許なしで乗れるようになる。賛否渦巻くなか、そこに見えたのは日本の停滞感だった。

7月から免許不要に

東京都内のキックボード(画像:森口将之)
東京都内のキックボード(画像:森口将之)

 2023年7月から、日本でも電動キックボードが運転免許なしで乗れるようになる。電動キックボードなどを対象とする、特定小型原動機付自転車(特定小型原付)というカテゴリーを新設するなどの内容を含めた改正道路交通法が、施行されることになったからだ。

 ちなみに特定小型原付とは、全長190cm×全幅60cm以内、定格出力600W以下の電動車で、最高速度は20km/h。16歳以上であれば運転免許不要で乗れ、ヘルメット着用は努力義務となる。

 走行場所は車道・自転車道・自転車レーンだが、機械的に6km/h以下に制御することで、自転車通行可能な歩道も利用できることになり、その場合は「識別点滅灯火」を使用することになるという。

 電動キックボードなどと書いたのは、これは電動のパーソナルモビリティ全般についての法律で、3輪の電動キックボードや電動車いすなどもここに該当するからだ。

パリの住民投票「反対」が9割

パリのキックボード(画像:森口将之)
パリのキックボード(画像:森口将之)

 そんななか、フランスのパリでは逆に、電動キックボードのシェアリングサービスの是非を問う住民投票を4月に実施。反対票が約89%を占めた。

 投票率が7.5%なので、民意を反映した結果かといわれると微妙だが、アンヌ・イダルゴ市長は事業者との契約を8月31日に終了するという。

 なぜ、ここまで対照的な動きが出ているのか。日本がこれから本格的なルールを導入するのに対し、パリが電動キックボードのシェアリングを受け入れたのは2018年と5年も前のことであることが大きいだろう。

 個人所有の電動キックボードもあり、こちらはフランスでは2021年に約90万台が個人用として販売され、ヨーロッパ最大の市場となっているという。

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