タンデム自転車「都内解禁」 駆動力は自転車の2倍も、ベテランサイクリストが危惧する「公道トラブル」とは

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7月1日、東京都内の公道でふたり乗り自転車(タンデム自転車)の公道走行が新たに認められた。どのような課題があるのか。

ベテランサイクリストの懸念

タンデム自転車(画像:写真AC)
タンデム自転車(画像:写真AC)

 さて、人口が多くそれに比例して自転車ユーザーも多い東京都においてタンデム自転車での公道走行が可能となったことは、どういった経済効果を生むだろうか。

 気の合った者同士、仲良くペダルを踏んで走ることは楽しいものである。ともに自転車を趣味とする恋人同士など、新たに購入してみようと考える人たちもいるかもしれない。そうした動機は、新たな市場活性化の引き金になるかもしれない。観光地などでの

「レンタサイクルの目玉商品」

として提供されることも推測できる。

 しかしここで注意しなければいけないことは、既述したとおり、タンデム自転車とは構造的、操縦特性的に決して安易に考えるべきものではないという事実である。タンデム自転車の構造、使用部品、正しい操縦方法などに造詣の深いメカニックがいるサイクルショップなどで購入するのであれば問題はない。気がかりなのは、安いからといって通販などで

「素性がよくわからないもの」

を購入した場合などである。

 筆者(浅野良、フリーランスノンフィクションライター)の友人には、古くからタンデム自転車に親しんでいるベテランサイクリストがいる。氏は今回の規制緩和で

・構造的に問題のあるもの
・整備状態が悪いもの

などが、公道上でトラブルを起こすことを危惧していると語っていた。特にブレーキについてはその重要性と脆弱性は忘れられがちであると。

 現在、東京都内の公道上にはさまざまなスタイルの自転車があふれている。それらを操る人たちの安全意識や機械に対する基本的な知識レベルもまたさまざまである。

 そうしたなか、構造的にも操縦的にもデリケートな部類に入るタンデム自転車が公道に出るということの意味――。特に安全性に関する啓発活動はもっと大々的に行うべきだと考える。

 楽しい乗り物であるからこそ、安全性にもしっかり留意したい。その上で、経済活性化の一役を担うことができればいうことはない。

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