タンデム自転車「都内解禁」 駆動力は自転車の2倍も、ベテランサイクリストが危惧する「公道トラブル」とは
7月1日、東京都内の公道でふたり乗り自転車(タンデム自転車)の公道走行が新たに認められた。どのような課題があるのか。
タンデム自転車の構造と走行特性

タンデム自転車について、その存在は知っていても
・実車を間近に見たことがある人
・実際にふたりで乗ったことがある人
は少ないだろう。まずはその構造と走行特性について説明しておこう。
基本となる構造は専用のフレームを使用する。フレームは単にふたりが乗車できるように延長されているだけではなく、大人ふたり分の体重やペダル踏力に対応するために構造自体が通常の自転車より強化されている。すなわち、重量もそれなりに増加している。
乗員は前側でペダル操作とハンドル操作を行う者、後ろ側でペダル操作のみを行う者のふたり。前側と後ろ側のクランクギアはチェーンで連結されており、ふたり分の踏力が最終的に駆動力として後輪に伝えられるようになっている。
前後のホイール、ホイールハブ、ブレーキなどは一見しただけでは通常の自転車と同じようにも見える。しかしいずれもタンデム自転車で使用することを前提に、構造を強化するとともに耐久性を向上させた専用品となっている。
タンデム自転車の操縦は、前側の乗員と後ろ側の乗員がタイミングを合わせてペダルを踏んで前進する。駆動力は通常の自転車の2倍。それに対して空気抵抗はほとんど変わらず。車体が長くなったことで、むしろ空力特性的には向上している。要するに
「スピードが出しやすい構造」
となっている。
一方で、車重が通常の自転車と比較して大幅に増加していることから、操縦性の面では悪化している。タンデム自転車において一番負担が掛かるのはブレーキである。
構造が強化されているとはいえ、重くなった車体に加えて乗員ふたり分の重量はブレーキに対して極めて大きな負担となる。平たん路であっても十分に余裕を見たブレーキ操作が必要であることに加えて、坂道を下るときなどは特に注意する必要がある。