中国の激安EV「宏光MINI」 販売台数28か月連続1位も、あえなく急失速した4つの致命的理由

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SGMWの宏光MINIは2年4か月にわたって売れに売れ続けた。しかし2022年11月頃からその販売台数に陰りが見え始めた。いったいなぜか。

「価格or性能」という評価点

宏光MINI(画像:上汽通用五菱汽車)
宏光MINI(画像:上汽通用五菱汽車)

 宏光MINIは、最初からその使い方は短距離の通勤や買い物程度と説明されていた。それを前提としていたからこそ、販売価格を低く抑えるための低航続距離や急速充電不可といった機能制限もやむなしとされた。

 とはいえ、これらはEVにとってコアともいえる

「スペックに妥協する」

ことを意味している。スペックに劣るEVに乗るくらいなら、中古でもよいのでもっと性能がよいものをと考えるのも自然だ。

 価格か性能か――。

これはEVに限らずあらゆるクルマにとって重要な評価ポイントである。そこにはコストパフォーマンスというわかりやすい基準がある。宏光MINIは確かにその価格には市場での訴求力があった。しかし、その一方でやはりパフォーマンスの面で大きく見劣りがした。

 宏光MINIは現在も販売が継続されてはいるが、おそらく五菱の次期モデルは価格も性能スペックも上がったものとなるだろう。ローコストモデルとはいえ、BYDの海鴎レベルの機能性や安全性は、輸出を考える上でも必須条件となるはずである。

 そして安価なものだけを求める層に対してのEVは、従来とおりの、いわゆる

「ミニカー的なモデル」

に戻って行くのではないか。そんなことを考えさせる宏光MINIの減速だった。

 最後に気になるのは、既に販売されている数十万台の宏光MINIがこの先どうなるのか。ということだ。

・中古車市場での評価
・廃車された場合のリサイクルの可能性

など、それなりに高価なモデルであれば再販価値もあるが、元々低価格なモデルではそれも望めないだろう。コストを下げ量産し、低価格で販売したはよいが、結局全て廃車になってお終いでは、何のためのEVなのかわからない。

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