デジタル農業の新たな展望 「アグリテック」がもたらす農業の未来とは
さまざまな産業のデジタル化が進んでいる。第1次産業の農業もそのひとつだ。デジタル化によって実現される革新的な農業を指す「アグリテック」は、作業効率化を目的にこれまで伸びてきた。
事業化の難しさと物流

アグリテックの課題はコスト面だ。前述のドローンや自動運転農機を導入すれば人材不足にを解消できるが、導入金額がネックになる。補助金などの制度も存在するが、システムの継続利用を考えると導入は容易ではない。
また導入したところで、手摘みという価値のある商品もあれば、収穫時期を人の目で判断しなければならない商品もある。さらに、このようなこだわりは商品の重要なポイントにもなっている。ようは「今日食べておいしい」商品ということである。
農作物の流通ルートも形態も常に変化をしている。収穫時の新鮮さをいかに消費者まで届けるか、それは農業事業者にとって重要な成功ファクターとなる。農業事業者は、出荷した農作物がどれくらいの時間と手法で運ばれるかを仮定し収穫する。それを見誤れば商品自体の価値が下がる。一度下がってしまった価値を上げるのは至難の業だ。
アグリテックを活用した事業は、ちょっとしたデータの活用から、消費者に最良のものを届けるためにありとあらゆる手段を尽くすものまでさまざまである。一連のフローにおいて、どの部分でテクノロジーを活用し、複数の業種業態の事業者が協業しあい事業として成り立たせるかを考えていく。
現状の物流システムでは、本来の成長にソフトブレーキがかかることもある。消費者の口に入るまでを想定し、解決すべき課題をアグリテックを利用することでビジネス化する。すでに事業を展開している企業も、これから展開しようとしているベンチャー企業も、物流改革に注目している。それは、彼らの成功の鍵のひとつを物流が握っているからにほかならない。
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