なんと総勢600両 台湾鉄路“初モノ”だらけの特急電車 「EMU3000型」の詳細に迫る

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台湾鉄路管理局の新型車両のひとつが、日立製作所が製造した特急電車「EMU3000型」だ。果たしてどんな車両なのか。

一番の特徴は「6号車」

6号車はビジネスクラスの「騰雲座艙」。車両やホームには専用マークとロゴが描かれている(台東駅)(画像:若杉優貴)
6号車はビジネスクラスの「騰雲座艙」。車両やホームには専用マークとロゴが描かれている(台東駅)(画像:若杉優貴)

 EMU3000型にはもうひとつ大きな「台鉄初モノ」がある。それは優等車両である

「商務車」(ビジネスクラス、日本のグリーン車に相当)

の本格導入だ。

 日本の在来線特急では多くの列車でグリーン車が導入されているものの、自強号はこれまでほぼ一貫してモノクラス。1990年には商務車が試験的に設けられたこともあったものの、本格運用には至らず約半年ほどで廃止となっており、ダブルクラスへの挑戦は約30年ぶりとなった。なお、台湾高速鉄路(新幹線)には商務車が設けられている。

 EMU3000型の商務車は台湾初の蒸気機関車である騰雲号にちなんで「騰雲座艙」と命名。座席は「2列 + 1列」の3列シートとなっており、JRの在来線グリーン車に近い雰囲気だ。

 新自強号の一般席(指定席)の運賃は従来の自強号の通常指定席運賃と同じであるが、騰雲座艙に乗車するには騰雲座艙専用の切符が必要となる。運賃は200km未満の乗車の場合は

「自強号の通常指定席運賃 × 1.4倍 + 180元」

200km以上の乗車の場合は、それに加えて200km以上のぶんの自強号の通常指定席運賃が加算される。つまり、

「長距離であるほど一般席との価格差は縮まる」

ことになる。なお、50km未満の乗車の場合は騰雲座艙に乗車することはできない。

 騰雲座艙の料金には「食事 + 飲み物代」が含まれている。食事は専用の限定台鉄弁当やスイーツ(ハーゲンダッツのアイスなど)、飲み物はコーヒー(スターバックス)や炭酸水などから選ぶことができ、基本的に切符の予約時にメニューも予約するシステムだ。

 食事メニューにはお土産として持ち帰ることができる「パイナップルケーキ + リンゴケーキ」のセットもあるため、おなかが空いていない場合はこちらを選ぶと良いだろう(各料金やメニューは2023年春時点)。

 なお、先述した「特別仕様車」編成(4編成を予定)にはこの騰雲座艙が設けられず、6号車には一般席とビュッフェカウンターが設置される。特別仕様車と一般車における内装の大きな違いはその点のみであり、一般席については通常仕様車と変わりない。自強号の定期列車に供食設備が設けられるのは久々であるが、2023年4月時点でこのビュッフェカウンターが営業している編成はない。今後どのように使われることになるのだろうか。

 また、2023年4月末のダイヤ改正により、特別仕様車編成で運転される一部の新自強号には自由座(自由席)が設けられることになった。自由座は1編成につき6両、運賃は

「自強号の通常指定席運賃 × 0.95倍」

となる。なお、通常の自強号は70km未満の距離であればICカード乗車券で乗車することもできるが(座席指定は不可)、EMU3000型(新自強号)の自由座には乗ることができない。

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