「中部横断道」の経済効果をあなどるな 静岡~山梨をつなぐ大動脈、コストコ参戦で今後どうなる?
全線開通で移動時間が70分短縮
中部横断自動車道の南部IC~下部温泉早川IC間が2021年8月29日、開通した。それにより、同自動車道の山梨県甲斐市「双葉JCT」から静岡県静岡市「清水JCT」までの区間が全線開通した。その結果、さまざまな経済効果が生まれている。
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まず最大のメリットは、山梨県から静岡県までの移動時間の大幅短縮だ。国土交通省関東地方整備局甲府河川国道事務所の発表によると、山梨県庁(甲府市)から静岡県庁(静岡市)までの移動時間は、これまで2時間45分かかっていたが(国道52号を利用した場合)、中部横断自動車道の整備で、1時間35分になった。
この移動時間の短縮で、
・交通需要の増加
・観光産業の活性化
・貨物運輸の効率化
などが期待されている。
開通で生み出されるメリット
甲府河川国道事務所のウェブサイトは実際、中部横断自動車道開通における六つのメリットを掲げている。
・物流の効率化が促されるとともに、ドライバーへの負担軽減も期待できる
・中部横断自動車道の整備と清水港との取り組みにより、山梨県産の果実を世界へ発信していける
・山梨県へのアクセス向上により、インバウンド観光などの促進が期待できる
・身延町から山梨県立中央病院など3次救急医療施設までの所要時間が短縮され、救命率の向上が見込まれる
・大雨などの災害時に「国道52号」が通行止めになった場合、中部横断自動車道が代替道路として機能する
・物流の効率化が図られ、IC近くの好立地を理由とした企業の立地が進むことで、雇用の拡大、人口の増加が期待できる
実にさまざまな経済効果だが、そのほとんどは中部横断道開通による移動時間短縮が大きく関わっている。もちろん、開通自体がよい影響を及ぼしている面もある。
例えば、六つ目の「物流の効率化が図られ、IC近くの好立地を理由とした企業の立地が進むことで、雇用の拡大、人口の増加が期待できる」について説明しよう。
2019年以降、高速道路へのアクセスのよさから新たな企業立地が進んでいた。実際に中部横断自動車道沿線には八つの工場や物流センターが開設され、地域の雇用創出に貢献している。