「中部横断道」の経済効果をあなどるな 静岡~山梨をつなぐ大動脈、コストコ参戦で今後どうなる?

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中部横断自動車道の南部IC~下部温泉早川IC間が2021年8月、開通した。それにより、同自動車道の山梨県甲斐市「双葉JCT」から静岡県静岡市「清水JCT」までの区間が全線開通した。その結果、さまざまな経済効果が生まれている。

開通がもたらす経済貢献とは

新名神高速道路の全体図(画像:NEXCO西日本)
新名神高速道路の全体図(画像:NEXCO西日本)

 さて、ここで中部横断自動車道沿線の

・南アルプス市
・中央市
・昭和町

における雇用者数の推移に注目してみよう。

 1991(平成3)年を100%とした場合、2016年は128%まで伸びている。同時期、山梨県全体の雇用者数は92%に落ち込んでいるため、高速道路の恩恵は大きい。

 中部横断自動車道にだけでなく、兵庫県神戸市から愛知県名古屋市までをつなぐ新名神高速道路も地域経済の活性化に影響を与えている。

 新名神高速道路の整備で、滋賀県大津市から三重県桑名市までの観光施設への移動時間が40分短縮された。これにより三重県の観光地は、関西圏からの観光客が4割増加し、開通前の2007年と開通後を比較すると、観光消費額も1年あたり約275億円増加している。

 このように、高速道路の開通はドライバーの負担軽減という単純なメリットを生むだけではなく、新たな企業の誘致ができるなど経済に貢献している。交通アクセスの向上により、新たな企業立地を生む可能性があり、新たな企業が増えれば、それに伴う雇用創出や地域の産業振興への貢献が期待できる。

 さらにその地域で仕事が増えれば、それを求めて新たに人口が増え、さまざまな経済活動が生まれるといったよい循環を生む可能性が出てくるのだ。

 地方には、広い敷地が残っていて開発を進められそうな場所がまだまだあるかもしれない。そのような場所が高速道路などの整備により、好立地となっていく可能性もあり得る。交通アクセスの向上などで得られる経済効果の恩恵を、次はどの地域が受けることになるか楽しみである。

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