「中部横断道」の経済効果をあなどるな 静岡~山梨をつなぐ大動脈、コストコ参戦で今後どうなる?
中部横断自動車道の南部IC~下部温泉早川IC間が2021年8月、開通した。それにより、同自動車道の山梨県甲斐市「双葉JCT」から静岡県静岡市「清水JCT」までの区間が全線開通した。その結果、さまざまな経済効果が生まれている。
会員制量販店の出店で生じる経済効果

開設に向けて準備を進める企業もある。その代表例が、山梨県西部に位置する南アルプス市の南アルプスIC付近で、2024年に開業予定の会員制量販店「コストコ」だ。コストコの日本会員数は2018年時点で600万人超。その人気の高さと集客力のよさから、さまざまな地域が出店を誘致しているが、どこにでも出店しているというわけではない。
では、コストコ出店で生じる経済効果について具体的に見ていこう。コストコのウェブサイトに掲載されている出店計画の土地条件を見ると、
・半径10kmの人口がおおむね50万人以上
・企業が多い地域
・車のアクセスのよい物件
といった場所を目安に選んでいることがわかる。
南アルプス市の人口は2023年6月1日時点で7万1441人であるため、50万人には到底及ばない。しかし、南アルプス市とコストコを運営するコストコホールセールジャパン(千葉県木更津市)は2022年7月4日に出店協定を結んでいる。
その要因として考えられるのは、交通アクセスのよさだ。実際に同社のケン・テリオ社長は以前、
「静岡や山梨の人は簡単にここに来られるほどアクセスがよいので決めた」
と発言している。このことからも、中部横断自動車道の普及であらゆる地域から利用客が訪れることを想定していることがわかる。
コストコの出店が決まったことで、雇用拡大も見込める。事実、同社長は
「出店に伴い350~400人を雇用する。うち52%が正社員」
と述べている。