なんと総勢600両 台湾鉄路の新型特急「EMU3000型」大量導入、その背景にあった深刻すぎる現地問題とは

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台湾鉄路の新型特急電車「EMU3000型」の活躍が広がっている。その背景にはいったい何があるのか。

重要な「環島電化」の全面完成

保存される特急型ディーゼル車両DR2700型(旧台中駅、一部工事中)。1960年代に東急車輛で製造、かつて特急「光華号」としても知られたオールドタイマーだが、東部幹線では台東以北電化開業の2014年まで運用されていた(画像:若杉優貴)
保存される特急型ディーゼル車両DR2700型(旧台中駅、一部工事中)。1960年代に東急車輛で製造、かつて特急「光華号」としても知られたオールドタイマーだが、東部幹線では台東以北電化開業の2014年まで運用されていた(画像:若杉優貴)

 さらに、EMU3000型導入の大きな背景にあるのが、台鉄にとって重要なプロジェクトである「環島電化」の全面完成だ。

 台湾を一周する鉄道は日本統治時代から計画されていたものであるが、特に台湾東部では険しい地形に阻まれて工事が難航。

 1980年2月に東北部の蘇澳方面から花蓮方面をつなぐ「北廻線」が、1991年12月に東南部の屏東方面から台東方面をつなぐ「南廻線」が全線開業したことでようやく「環島鉄路」が完成したものの、当時は台湾東部・南部の全路線が非電化であり、ディーゼル列車での運行となった(なお、戦前に開通していた花蓮-台東間も1982年まで軌間762mmの軽便規格だった)。

 その後、災害などで幾度となく路線が寸断されながらも電化工事に着手。2020年12月に台湾南部の枋寮駅(屏東県)から台東近くの温泉地である知本駅(台東県)までの86.6kmが電化開業したことで「環島電化」はようやく完成を見ることとなった。

ディーゼル車の置き換えも必須に

台東駅に停車するEMU3000型。高速化以外にもバリアフリー化が図られるなどさまざまな特徴がある。台東駅まで電車が来るようになったのは2014年のこと。早くも地域の「花形列車」となっている(画像:若杉優貴)
台東駅に停車するEMU3000型。高速化以外にもバリアフリー化が図られるなどさまざまな特徴がある。台東駅まで電車が来るようになったのは2014年のこと。早くも地域の「花形列車」となっている(画像:若杉優貴)

 この環島電化完成により生まれたのが自強号ディーゼル車の

「置き換え問題」

である。

 南廻線の電化とEMU3000型を含む電車自強号の投入により、高雄~台東の所要時間は最速で約2時間半から1時間40分台へと大幅短縮されることに。EMU3000型はデビュー直後から南廻線における主力車両となっており、地元ではさらなる増発を望む声も聞かれる。

 一方で、環島電化の完成後もディーゼル自強号は一部で残されたまま。全ての自強号を電車化するためには特急型電車の大幅増備が必須だった。EMU3000型の増備によりディーゼル自強号は徐々に本数を減らしており、2023年4月のダイヤ改正後にはディーゼル自強号の車両はDR3100型の1形式30両を残すのみとなった。

 さて、EMU3000型は車内外にこれまでの自強号とは異なるさまざまな「台鉄初」「自強号初」を備えている。次回の記事では実際にEMU3000型・新自強号に乗車して、その特徴を探っていきたい。

●参考文献
鐵道情報編輯部(2023):EMU3000型電聯車.鐵道情報260,pp.28-81.(中文)
臺灣鐵路管理局(2019):「城際電聯車 600 輛」購案赴日本考察車輛製造廠及觀光列車行銷.臺灣鐵路管理局,國家發展委員會公務出國報告資訊網8.(中文)

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