男だらけのタクシー業界! 女性ドライバーわずか「4%」という辛らつ現実、ジェンダー平等時代に浮き彫りになった知られざる格差とは
女性タクシードライバーの構成比はわずか「4.2%」である。車の運転自体は性別問わずできるのに、なぜ大幅に増えないのか。
全国でわずか9673人

筆者(才田怜、ジェンダー研究家)の目の前にタクシーが止まったとき、ドライバーが女性だと驚いたのは何年前だったか。今ではすごく珍しいというほどではなくなったが、そう簡単には出会えない。
法人タクシーの事業者団体である全国ハイヤー・タクシー連合会(東京都千代田区)のデータによると、女性タクシードライバーは、全国で9673人しかいない(2023年3月末時点)。
女性の構成比は右肩上がりで増えているものの、ようやく
「4.2%」
に達したところである。年齢層としては45歳以上75歳未満がボリュームゾーンになっている。
車の運転自体は、性別問わずできる。なぜ女性タクシードライバーが大幅に増えないのか、若い層が少ないのか、ジェンダーの視点も踏まえて見ていきたい。
タクシードライバーの報酬格差

男社会であるこの業界では、報酬に男女で格差があるのだろうか。
2022年の6月の月間給与から推計される平均年収額は、
・男性:363万6100円
・女性:320万2100円
と43万円以上の差が出ているが(令和4年賃金構造基本統計調査より)、これは、選択した勤務形態の違いによるものと考えられる。
賃金体系は
・固定給 + 歩合給 + 賞与
・完全歩合制
・それらの中間
の三種類が一般的である。
さらに女性のなかには、少数ではあるがパートタイムとして時給で働く人がいるという。扶養内も可としているタクシー会社もある。
このようなパートタイムも含め、昼間のみ働く「昼日勤」を選択する女性ドライバーが少なくないようだ。
ただ、歩合であれば、夜間に働くほど稼ぎやすいのがタクシーである。深夜割り増しがあれば稼ぎやすいし、そもそも終電後など夜のタクシー需要が大きい。そういった点から、報酬の差が生まれていると考えられる。