運転初心者の難敵? 高速道路の「右ルート」「左ルート」、なぜ設置されているのか
両ルートの設置場所

まず、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本が管轄する高速道路のうち、右ルート・左ルートが設置されているのは下記5か所だ。
・東名高速道路下り線:大井松田IC~御殿場IC
・東名高速道路上り線:焼津IC~静岡IC
・名神高速道路下り線:京都南IC~茨木IC
・名神高速道路上り線:茨木IC~京都南IC
・中央自動車道下り線:上野原IC~大月IC
東名高速道路(東名)は上下線で違う区間に設置されており、名神高速道路(名神)は上下線同一区間に設置されている。中央自動車道(中央道)は、下り線のみの設置だ。
いずれも日本を代表する主要路線であり、そのことが関係しているのだろうか。それとも違う理由があるのか。
設置理由

右ルート・左ルートが設置されている場所は、いずれも交通量の多い区間だ。
国土交通省が発表している高速道路の渋滞ランキングでも、常に上位に位置する区間である。また、いずれも山岳地帯を通る区間で、例えば東名なら都夫良野(つぶらの)トンネル、名神なら天王山トンネルなど、路線を代表するトンネルが通っている区間でもある。
通常なら、交通量が多く渋滞の激しい区間の交通を緩和させるには車線数の増設が望ましい。しかし、山岳地帯では難航する上に建設費がかさむ現実がある。そこで、既存の道路の隣あるいは近辺に新たな道路やトンネルを建設して、既存の道路を2ルートに分けて運用しているのだ。
中央道の右ルート・左ルートの区間を例に見てみると、2003(平成15)年3月の改修工事完了後、上り線の3車線が新しくつくられた道路だ。下り線は今まで
・上り線で運用されていた車線:右ルート
・下り線で運用されていた車線:左ルート
として運用されるようになった。
右ルート・左ルートは交通緩和対策としてつくられたものである。そのため、全国的にも珍しいのだ。