景観のためだけじゃない! 私たちが街から「街路樹」をなくしてはいけない理由

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多くの道路には、街路樹が等間隔で植えられており、行政によって適切に管理されている。そんな街路樹、実は景観をよくするためだけに植えられているのではないことをご存じだろうか。

誕生は明治時代から

1867年ごろの馬車道脇の街路樹の様子(画像:横浜市)
1867年ごろの馬車道脇の街路樹の様子(画像:横浜市)

 街路樹の始まりは、明治時代にさかのぼる。一説によると、奈良時代には街路樹として木々が植えられていたという説もあるが、本格的に整備されてきたのは、1867(慶応3)年以降だといわれている。明治の近代化では、鉄道や食事だけでなく、海外ですでに広まっていた街路樹も日本でも広がり始めたのである。

 日本の近代街路樹の発祥地は、横浜であるといわれている。

 1867年、上の画像のように、馬車道にある商店街が店前に柳や松を植えていたのがその起源だ。横浜市営地下鉄関内駅近くには、今でも「近代街路樹発祥之地」の記念碑が建っている。

 このように陰ながらわれわれの生活を支えてくれている街路樹だが、木の老朽化が進んだり、通行を妨げたりしてしまうケースがあるなどして、都市部を中心に大規模な街路樹の伐採が増えている。

 確かに、自然災害時に木が倒れたり枝が落ちたりすることもあるだろう。危険性がまったくないとは言い切れないが、それでも、私たちがどれだけ街路樹の恩恵を受けているか忘れてはいないだろうか。

 近年では、温暖化の影響もあり、夏には気温が真夏日以上になることが多い。そんななかで、街路樹は強い日差しから、私たちを守ってくれる。まさに天然の休憩所であり、ほっと息をつける場所でもある。現に、自治体の大規模な伐採に住民らが反対し、猛抗議をしている例がある。

 具体例として、大阪府の「木を切る作戦」がある。標識が見えにくいことなどを理由に府内で1万本ほどの街路樹が伐採される予定だったが、それに対し、住民が猛反発したとのことだ。

 確かに、街路樹が通行の妨げになるようなことがあってはいけないが、自治体による適切な管理をしていれば、伐採ほどの対応をする必要はなくなるのではないだろうか。

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