日本は「EV後進国」ゆえに欧米に勝てるかもしれない! カギとなるのは「インド」「軽自動車」「次世代電池」だ

キーワード :
, ,
欧州連合の政策執行機関である欧州委員会は3月27日、2035年以降の新型エンジン車販売禁止提案から、合成燃料e-Fuelを使用するエンジン車を除外することを承認した。ほかにも、自動車の脱炭素化に関わる大きな動きが続く。情報を解説しながら、今後日本が進むべき道筋を考える。

補助金なしが正常

米国のインフレ抑制法による税額満額控除対象車10車は全て米国車(画像:米国財務省)
米国のインフレ抑制法による税額満額控除対象車10車は全て米国車(画像:米国財務省)

 補助金頼みの製品は「自立」していない。英国と中国はすでに補助金を廃止した。この2国では、BEVを十分ではないが自立した商品と判断したわけだ。

 米国の財務省は4月18日、インフレ抑制法(IRA)による税額控除の対象EV(BEV + PHEV)を公表した。満額の7500ドルの対象はわずか10車、半額の対象は7車で、全て米国車だ。IRAは米国の産業保護政策だから、当然の結果といえる。

 バッテリー用鉱物資源確保の安全保障については、多くの国が米国と利益を共有するが、米国生産に関しては判断がわかれるだろう。

 なぜなら、米国のEV化目標は2030年に新車販売の50%と野心的ではなく、EVにはPHEVも含んでいるからだ。

新排ガス規制「ユーロ7」とは

「ユーロ7」の狙いと新規点(画像:欧州委員会)
「ユーロ7」の狙いと新規点(画像:欧州委員会)

 欧州議会は2022年11月10日、新排ガス規制「ユーロ7」を提案した。新型乗用車の施行日は2025年7月で、主な変化点は次のとおりだ。

●ディーゼル排ガス不正事件の再発防止策として
・実走行時の排ガス規制(RDE)を強化
・デジタル技術による排ガス性能の車載監視システム(OBM)を導入

●大気汚染改善のため
・トラックとバスも含むディーゼルエンジンの規制値を強化
・ブレーキとタイヤが発生する粉じんを規制対象に追加

●BEV普及推進のためバッテリーの耐久性基準を設定

 欧州自動車工業会は、ユーロ7による窒素酸化物(NOx)排出量削減効果は

「2%(トラック)~4%(乗用車とバン)」

とわずかだが、乗用車の平均価格は2000ユーロ上昇する、と苦言を呈す。

 ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、自動車メーカーがBEVに数百億ユーロを投資し、エンジン車の廃止を開始した今、ユーロ7は「無用だ」と述べた。

 ディーゼル排ガス不正事件で信頼を失った欧州自動車産業界にとって、ユーロ7の導入は自業自得だが、RDEやOBM等の技術開発に要する時間と費用がBEVへの移行に影響することは間違いない。

全てのコメントを見る