日本は「EV後進国」ゆえに欧米に勝てるかもしれない! カギとなるのは「インド」「軽自動車」「次世代電池」だ
補助金なしが正常
補助金頼みの製品は「自立」していない。英国と中国はすでに補助金を廃止した。この2国では、BEVを十分ではないが自立した商品と判断したわけだ。
米国の財務省は4月18日、インフレ抑制法(IRA)による税額控除の対象EV(BEV + PHEV)を公表した。満額の7500ドルの対象はわずか10車、半額の対象は7車で、全て米国車だ。IRAは米国の産業保護政策だから、当然の結果といえる。
バッテリー用鉱物資源確保の安全保障については、多くの国が米国と利益を共有するが、米国生産に関しては判断がわかれるだろう。
なぜなら、米国のEV化目標は2030年に新車販売の50%と野心的ではなく、EVにはPHEVも含んでいるからだ。
新排ガス規制「ユーロ7」とは
欧州議会は2022年11月10日、新排ガス規制「ユーロ7」を提案した。新型乗用車の施行日は2025年7月で、主な変化点は次のとおりだ。
●ディーゼル排ガス不正事件の再発防止策として
・実走行時の排ガス規制(RDE)を強化
・デジタル技術による排ガス性能の車載監視システム(OBM)を導入
●大気汚染改善のため
・トラックとバスも含むディーゼルエンジンの規制値を強化
・ブレーキとタイヤが発生する粉じんを規制対象に追加
●BEV普及推進のためバッテリーの耐久性基準を設定
欧州自動車工業会は、ユーロ7による窒素酸化物(NOx)排出量削減効果は
「2%(トラック)~4%(乗用車とバン)」
とわずかだが、乗用車の平均価格は2000ユーロ上昇する、と苦言を呈す。
ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、自動車メーカーがBEVに数百億ユーロを投資し、エンジン車の廃止を開始した今、ユーロ7は「無用だ」と述べた。
ディーゼル排ガス不正事件で信頼を失った欧州自動車産業界にとって、ユーロ7の導入は自業自得だが、RDEやOBM等の技術開発に要する時間と費用がBEVへの移行に影響することは間違いない。