つくばエクスプレス「土浦延伸」の赤字は年間3億円! でも地元民は大歓迎、その裏にあった市内高架道路の忌まわしき記憶とは
つくばエクスプレスの延伸先を検討してきた茨城県の第三者委員会はこのたび、JR常磐線土浦駅が有力とする提言書をまとめた。ただ、県内の東西交通の利便性の高まりが期待されるものの、実現性はまだ低い。
「つくば万博によって滅ぼされた」

それだけではない。
自動車道として土浦ニューウェイが残ったことで、土浦市の市街地は一気に衰退してしまったのだ。古くから地元を知る人に聞いたところ、
「市街地に下りるところのない道路ができてしまった結果、郊外が発展し、従来の市街地は一気に衰退してしまいました。高架下にショッピングモールができて少しは話題になりましたが、ここも“夜逃げ”した店が多いですよ。土浦はつくば万博によって滅ぼされたわけです」
とのことだった。「土浦はつくば万博によって滅ぼされた」はなかなかのパワーワードだが、全く笑えない現実なのである。
インフラが整備されなかったどころか、中途半端に完成したインフラのせいで街が破壊されてしまった。こんな事例は全国でもまれだ。
まずは土浦の再生目指せ

実際、現在の土浦市街地は休日ともなれば、ほぼ無人地帯である。
人流をつくり出すために駅前に移転した市役所のビルには店舗もあるため、いくらか人はみかける。しかしその先、市街地の名所である土浦城まで歩く途中には、誰にも出会わないほどだ。
ここまで、悲惨な目に遭わされているのだから、土浦市民がTX延伸に向けた熱量が高くなるのも理解できる。
第三者委員会では、費用便益比を1.0以上にするために
「11万人規模の開発」
が必要と見込んでいる。目指すのは土浦の再生であり、TXはその一部と見たほうがよいだろう。