つくばエクスプレス「土浦延伸」の赤字は年間3億円! でも地元民は大歓迎、その裏にあった市内高架道路の忌まわしき記憶とは
つくばエクスプレスの延伸先を検討してきた茨城県の第三者委員会はこのたび、JR常磐線土浦駅が有力とする提言書をまとめた。ただ、県内の東西交通の利便性の高まりが期待されるものの、実現性はまだ低い。
単刀直入「つくるだけムダ」

ここで重要なのが、「B/C(費用便益比)」というキーワードだ。
これは公共事業の効果を金額に置き換えて、その妥当性を評価する指標のことだ。単純にいえば整備費用に対する利用者便益の比率のことだ。利用者便益とは具体的に、
・移動時間の短縮
・事故の減少
・環境の改善
などを指す。
この値が「1」以上であれば、総便益が総費用より大きくなり、その事業は妥当とみなされる。逆に1以下であれば、公共事業としてはムダということになる。
もっとも、多くの公共事業の利便性は高くても
「1.2~1.3」
なので、とにかく1.0を越えているか否かが課題だ。ところが、提言では「懸念事項」として、こう記している。
「単年度収支は現状では赤字であり(注:県庁によれば鉄道を元に計算)、B/Cも 1.0未満であることから、実現に向けた課題は残る」
実際の試算では、土浦延伸の場合のB/Cは
「0.6」
となっている(年間3億円の赤字)。
つまり、TXを茨城県内で延伸するなら土浦方面が妥当ではあるものの、公共事業として実施する効果は低い。言い方を変えると
「つくるだけムダ」
なのが現状である。
土浦市とつくば市間には、毎日7~8万人の移動がある。両市を結ぶバス路線は
「ドル箱路線」(土浦市役所)
だという。それでも、約1400億円と試算される事業費を投じて、鉄道を成功させるほどの規模にはなっていないのだ。