つくばエクスプレス「土浦延伸」の赤字は年間3億円! でも地元民は大歓迎、その裏にあった市内高架道路の忌まわしき記憶とは
つくばエクスプレスの延伸先を検討してきた茨城県の第三者委員会はこのたび、JR常磐線土浦駅が有力とする提言書をまとめた。ただ、県内の東西交通の利便性の高まりが期待されるものの、実現性はまだ低い。
行政はあくまで“様子見”

一連の報道を見るに、あたかも実現できるかのように見えるが、今は
「可能性そのものを模索している段階」
というのが正しい。当の茨城県庁にも話を聞いてみたが言葉は少なかった。
「これから課題を洗い出して検討していく必要があり、具体的な開通予定も示すことはできません」
鉄道がやってくることに期待が高まる土浦市役所でも同様だ。
「まだ、スタートラインに立った段階にすぎません」
行政の態度はあくまで“様子見”といったところなのだ。
インフラ整備の大失敗した土浦市

しかし、土浦市民の延伸への期待値は高い。
市民に尋ねてみると、土浦市には
「インフラ整備の大失敗」
によって、市街地が衰退した痛い歴史があるからだという。
この大失敗したインフラというのが、1985(昭和60)年の国際科学技術博覧会(科学万博つくば ’85)開催に併せて建設された
「土浦ニューウェイ」
だ。
この道路は、土浦駅東口からつくば市方面へ約3kmに渡って続く、無料の高架道路である。この道路の目的は、市街地の渋滞を避けてつくば市方面へのアクセスを向上させることだった。しかも建設当初は、その先の計画も存在していた。
万博当時には、土浦駅と桜村(現・つくば市)の中心部を新交通システムで結ぶ計画があった。この計画では土浦ニューウェイと、つくば駅近くの花室トンネルは将来は
「新交通システムが通るルートになる」
とされていた。ところが、この計画はまったく具体化せずに頓挫してしまった。