中国BYDが欧州上陸 ノルウェーでSUV「唐」発売 戦略のカギはバッテリー?

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中国BYDが欧州に上陸。ノルウェーでSUV EV「唐(タン)」を発売した。バッテリーは形状を工夫したLFPリチウムイオン電池を採用。欧州進出にあたり選ばれた唐のスペックとBYDの戦略とは。

BYDの主力SUV EV「唐」とは

ノルウェー・オスロの発売イベントで並んだSUV EV「唐」(画像:BYD)。
ノルウェー・オスロの発売イベントで並んだSUV EV「唐」(画像:BYD)。

 中国のEVメーカーBYDとノルウェーの販売会社RSAは2021年8月、ノルウェーでBYDのミドルサイズSUV EV「唐(タン)」を発売した。唐の初上陸100台を記念してノルウェーで発売イベントを開催し、記念すべき1台目を所有者に引き渡した。

 欧州市場で新エネルギー車(NEV。主にEVとPHEVを指す)の販売が急増する重要な時期に、BYDはノルウェーでの乗用車販売を開始した。これにより同社の長年の目標であった欧州上陸が実現した。

 BYDは、唐の本格的な欧州上陸の第一歩として、2021年末までに1500台をノルウェーで販売する計画だ。現地価格は59万9900NOK(ノルウェークローネ・約730万円)という競争力のある値付けとなっている。

「唐」のスペックを紹介しよう。航続距離は528km(WLTPシティ)・400km(WLTPコンバインド)で、0-100km/h加速は4.6秒と、全長4.9mの大柄なSUVとしてはなかなかの加速ぶりだ。またブレーキ性能もそれに合わせて強化されており、100-0km/hの減速距離は36mに収まっている。

 バッテリーは、このところ世界的にも注目が集まっている、正極材にリン酸鉄(LFP)を用いたリチウムイオン電池を採用している。LFPリチウムイオン電池はエネルギー密度が低いという課題であったが、BYDは、バッテリーケース内部のセル以外の補器類やセンサーが占める容量を抑制し、またセルを刃物の形状のように薄く長い構造として、バッテリーケース内のセルの占める割合を高めることに成功し、エネルギー密度を高める工夫をした。

 同社ではこのバッテリーを、セルの形状にちなんでブレードバッテリーと名付け、主力バッテリーとして生産している。唐においては86.4kWhのブレードバッテリーを搭載し、充電性能は110kWのDC電源に対応、30%から80%の充電を30分でこなす。

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