米国警察のドローンが住民監視? 捜査の効率化に多大な貢献も、録画データへの住民アクセス不可 日本も他人事とはいえない現実だ

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米国で、警察によるドローン活用が急速に進められている。なかでも最先端を行くのは、カリフォルニア州サンディエゴ郡のチュラビスタ市警察だ。

ドローン捜査の流れ

カリフォルニア州サンディエゴ郡にあるチュラビスタ警察(画像:(C)Google)
カリフォルニア州サンディエゴ郡にあるチュラビスタ警察(画像:(C)Google)

 チュラビスタ警察は、2018年10月から警察本部の屋上にドローンを配備している。このシステムは「Drone as First Responder(緊急対応ドローン)」の頭文字を取って、DFRシステムと呼ばれ、911通報(日本の110番通報)に対して、最初に現場を確認するための捜査要員として出動する。

 チュラビスタ警察のウェブサイトによると、ドローン捜査はおおむね下記のような流れで進行するようだ。

1.市民からの緊急通報にオペレーターが応答する(警察官も同時に通話を聞くことが可能)
2.内容に応じてオペレーターがドローンを離陸させる
3.ドローン搭載の高精細カメラで撮影したビデオ映像がオペレーションセンターへ送信される
4.映像を受け取ったオペレーターは、ドローンをリモートで制御しつつ、現場の地上部隊に状況を知らせる

 このDFRシステムは導入以来拡大を続け、現在は市内のどこへでも

「数分以内」

に到着することができる。飛行高度は100m前後で、地上にいる人はほとんどその存在に気づかない。進行中の犯罪や火災、交通事故など、あらゆる捜査に使用され、ときには捜査の効率化にも貢献している。

 例えば、拳銃に関する通報の1次捜査である。チュラビスタ市があるカリフォルニア州は銃の所持の取り締まりが厳しく、銃弾を装填(そうてん)済みの銃器を公の場で隠さずに持ち歩くことが禁止されているため、拳銃所持の通報には被害が出ていなくても警察が出動する。

 ドローンはこうした通報に対していち早く現場に駆けつけ、警察官がたどり着くまでの間、上空から現場の様子を伝える。容疑者が今どこで何をしているかはもちろん、ときには

「拳銃は誤報で、拳銃型のライターだった」

というような判断も映像で行える。

 チュラビスタ警察のウェブサイトには、ドローンが行った捜査状況が公開されている。2022年に通報を受けてドローンが出動した4402回のうち、逮捕につながったのは593回、ドローンの情報から誤報と判断できたのは1085回だ。DFRシステムは、捜査の

・効率化
・安全性

に貢献していると、チュラビスタ警察は主張する。

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