自動車メーカー・サプライヤー間の「値下げ交渉」、もはや“商慣習”になっているワケ

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自動車業界では、自動車メーカーとサプライヤー間で「値下げ要請交渉」が定期的に行われており、それが行われないことがニュースになる。その商慣習の理由を解説する。

「共存共栄」のため?

自動車のイメージ(画像:写真AC)
自動車のイメージ(画像:写真AC)

 トヨタ自動車は、取引先の部品メーカー(サプライヤー)に対する値下げ要請をほぼ1年ぶりに再開すると2023年2月に発表した。

 トヨタは、コロナ禍や半導体不足への対応として車両の減産を行っており、それによるサプライヤーへの影響を考慮して、2022年度(2022年4月~2023年3月)は値下げ要請を見送っていた。しかし現在はコロナ禍による混乱や半導体不足の問題が解消されたことを受け、減産を解除しているため、2023年度からサプライヤーへの値下げ要請を再開するということだ。

 一方、ホンダは2023年度(2023年4月~2024年4月)も引き続き、サプライヤーに対して値下げ要請を実施しない方針を発表した。これには、原材料価格の高騰がサプライヤー各社の経営を圧迫していることに対する配慮と、政府から要請されている中小企業の賃上げを促す狙いもある。

 では一体なぜ、自動車業界では自動車メーカーとサプライヤー間で「値下げ要請交渉」が定期的に行われるのだろうか。

 先に結論を言うと「共存共栄のため」であるのだが、より細かく解説していく。

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