北陸鉄道「石川線」「浅野川線」上下分離検討へ 古都・金沢で起きた路線維持の大ピンチ、地元協議会はバス転換視野も そうは問屋が卸さない現実とは
赤字が続く石川県の北陸鉄道石川線と浅野川線で、上下分離方式導入の検討が始まることになった。観光で人気の金沢市でさえ鉄路を維持できない事態は衝撃だ。
コロナでビジネスモデルが崩壊

石川線は金沢市の野町駅から野々市(ののいち)市を経て、白山市の鶴来(つるぎ)駅を結ぶ13.8km、浅野川線は金沢市の北鉄金沢駅から内灘町の内灘駅に至る6.8kmで、ともに全線単線の電化路線。主に通勤、通学の足に利用されている。
しかし、両線を運営する北陸鉄道の鉄道事業は長年、赤字を続け、2014年度からコロナ禍前の2019年度まで毎年1億円前後の営業赤字を計上してきた。コロナ禍が直撃した2020、2021の両年度は赤字幅が2億円を上回っている。
北陸鉄道は運行する鉄道路線が石川線と浅野川線だけだが、バス事業も展開している。高収益の高速バスや貸し切りバスの黒字で鉄道や路線バスの赤字を埋めるのが、ビジネスモデルだった。
しかし、コロナ禍で高速バスの運休が相次いだうえ、外出制限で貸し切りバス需要も低迷、ビジネスモデルが崩壊した。
北陸鉄道は従業員の賞与や退職金、役員の報酬をカットしたほか、バス車両の更新を停止するなど、爪に火をともすような経費節約に努めている。しかし、原油価格高騰による燃料費負担の増加もあり、思うような効果を出せていない。
その結果、会社の内部留保は2019年度の25億円が2021年度で約8億円まで減少した。自己資本比率も2021年度に25%を下回っている。北陸鉄道は
「この状況が続くと債務超過に陥ることが危惧される。解決策は上下分離方式導入しかない」
と危機感を募らせる。