トラックドライバー不足解消狙い「運転免許制度」は複雑化も、実は逆効果だった!

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トラックドライバー不足が指摘されて久しい。その理由として、免許制度の複雑さも問題だと筆者は考える。

AT限定増の影響も?

トラックのイメージ(画像:写真AC)
トラックのイメージ(画像:写真AC)

 AT限定免許の影響も見ておこう。現在、新規に運転免許を取得しようとしている人の7割はAT限定免許を選ぶという。現在市販されている9割以上の車はAT車で、一部のスポーツカーなどがマニュアル車となっているが、日常の生活ではAT限定免許でも十分事足りる。

 このことから運転免許取得者もAT限定がどうしても多くなる。しかし業務用のトラックに関しては、ATの割合が少ないと筆者は認識している。ATのトラックが少なければ、AT限定を解除しないと、トラックドライバーになるのは難しい。

 ドライバーのなり手不足の解消へ向け、免許取得制度を設けている運送会社もあるが、なかなか一般には浸透せず、乗務員募集をかけても集まらないようだ。

 ただ、雇用する企業側も福利厚生に力を入れ、労働環境を良くし、ドライバーの仕事環境を改善しようと努力している。カーボンニュートラルや持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいる企業も多く、コロナ禍以降業績を伸ばしている運送会社も多い。2024年に労働時間の制限が厳しくなるのも、ドライバーの労働環境改善にはつながる。

 とはいえ、複雑な免許制度が結果として生み出したドライバー不足が、労働時間の改善で少しはよくなるのか。筆者は疑問に感じている。

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