トラックドライバー不足解消狙い「運転免許制度」は複雑化も、実は逆効果だった!

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トラックドライバー不足が指摘されて久しい。その理由として、免許制度の複雑さも問題だと筆者は考える。

「中型」に「準中型」、新設

トラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)
トラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)

 免許制度はまず、2007(平成19)年に変わっている。それまでは「普通」免許と「大型」免許しかなく、普通免許で、最大積載量5t未満、車両総重量8t未満のトラックを運転できた。だが、自動車教習所で習ったことのない大きさの車も運転できることから、事故が多発。「中型」免許制度を新設することになった。

 大型免許取得には、普通免許取得から3年以上が必要で21歳以上が対象だが、中型免許の場合は、普通免許を有して2年以上となり、年齢制限も20歳以上に緩和された。このときの中型免許では、最大積載量3t以上6.5t未満(車両総重量5t以上11t未満)のトラックを運転できた。

 しかし、運送業界の人手不足はこの頃からあり、普通免許があっても2年たたないと中型免許を取得できず、改正後に普通免許を取得した人は、車両総重量5t以上の中型トラックが運転できないため、やはりトラックドライバーが不足することになってしまった。

 そこで2017年の制度改正により、「準中型免許」ができた。この準中型免許は普通免許の有無に関係なく取れることから、免許を取得すれば、18歳でも車両総重量3.5t以上7.5t未満の準中型車を運転できるようになった。

 それでもドライバー不足はなかなか解消しない。なぜか。2017年の制度改正後に取得した普通免許では、乗れるトラックの種類が、最大積載量2t未満に限定されてしまったことがある。

 2007年までに取得した普通免許なら、最大積載量5t未満(車両総重量8t未満)のトラックが、2017年までに取得した普通免許なら、最大積載量3 t未満(車両総重量5t未満)のトラックがそれぞれ運転できるのだが、条件が厳しくなってしまったわけだ。

 交通事故の抑止も制度改正の目的とはいえ、結果的にトラックドライバー不足につながっているとしたら、皮肉なものだ。

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