ベンチャー国を動かす 「車両区分を変化させることができるモビリティ」誕生への3年間
「ベンチャーでも国を動かせるんだ」

今回はGFRシリーズのみが「原付/自転車」の区分を変化させられるものと認められたが、「警察が2種類以上の車両区分に跨るモビリティを想定するようになった」意義は大きいと鳴海社長は話す。
そして「ベンチャーでも国を動かせるんだ」とも。今回の実現までには3年を要している。
きっかけは2018年6月のこと。広報担当の安藤明子氏が「規制のサンドボックス制度」の活用相談会が開催されることを知った。この制度は内閣官房が創設したもので、「新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難な場合に、内閣官房が各規制省庁に働きかけて規制の見直しにつなげる」といった説明がなされている。
「何かここで解決できるかもしれない」。安藤氏は翌月に申し込み、 内閣官房の担当と細かく打ち合わせを進め申請を出すまでに1年を要した。 この間、実証フィールドを和歌山で行うこととし、申請は和歌山市と共同で行っている。2019年10月にモビリティ分野で初認定を受け、実証開始に至った。 ちなみに、時を同じくして電動キックボードシェアのLuupやmobby rideも、ヘルメット着用なしでのシェア事業展開に向けサンドボックス制度の認定を受けている。
和歌山市の尾花正啓市長は、グラフィットからの実証実験の提案に対し、協力を2つ返事でOKしたとか。記者会見に登壇した市長は次のように明かした。
「コンパクトシティ、ウォーカブルシティを目指すうえでも、モビリティは様々な社会問題を解決するための大きなカギとなる。和歌山市は原付と軽車両の保有率が全国1位の都市。小さいモビリティに頼ってきた歴史がある。自転車モードで使用される場合の安全性の検証は、行政としてもしっかり取り組むべきと考えた」
また、この検証が、より大きなモビリティの開発にもつながると考えたという。「自転車と原付の間には法的にも大きな壁がある。今回はモビリティにとって大きな変革だ」と話した。