ベンチャー国を動かす 「車両区分を変化させることができるモビリティ」誕生への3年間

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glafitのペダル付き電動バイクが警察庁に「車両区分を変化させることができるモビリティ」として認められた。2つ以上の車両区分に跨るモビリティが現行法の中で位置付けられたのは初めて。一介のベンチャーが国を動かした。

原付でも自転車モードなら「自転車」 認められる

GFRシリーズ。
GFRシリーズ。

 警察庁が、グラフィット(和歌山市)のペダル付き電動バイク「GFR」を「車両区分を変化させることができるモビリティ」の日本第一号案件とし、全国の警察に通達を発出した。

 これを受け2021年7月2日(金)、「GFR」シリーズなどを製造・販売するグラフィットが東京都内で記者会見を開いた。

 GFRシリーズはバイクモード、電動アシストモード、自転車モードの切り替えが可能な、昔ながらの言葉でいえば「モペッド」だ。車両区分としては原付であり、電源オフで自転車として走る場合でも原付の規制が適用される。これに対し今回、GFRシリーズは「自転車モードであれば道路交通法上も自転車」とすることが初めて認められた。

「『ちょっとそこまで自転車で』『クルマが速いので(自転車通行可の)歩道へ逃げたい』、こうした場合でも車道しか走れなかった」。グラフィットの鳴海禎造社長はこう話す。

 グラフィットは2017年、GFRシリーズの第一弾「GFR-01」をクラウドファンディングサイト「makuake」で販売し、およそ2か月で当時の国内クラファン史上最高の資金調達額となる1億718万円を集めて注目されたベンチャーだ。

 GFRシリーズはこれまでに5000台を販売しており、同じような折り畳み自転車タイプの電動原付では国内トップのシェア。ユーザーが増えるにつれ、「車道しか走れないのは不便」の声が目立ってきたという。

 これを打開することになったのが、新開発のモビリティカテゴリーチェンジャー、略して「モビチェン」だ。電源オフの状態の自転車モードで、ナンバープレートをカバーで覆うことができる。これにより、対外的に「いまは自転車」であることを示すことで認可が下りた。なおモビチェンは、本体の電源がオフの状態でしか作動しない機構になっている。

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