交通取り締まり、いくら厳しくしても違反が減らないワケ 「年間500万枚」の切符は意義あるのか

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交通違反の取り締まりによって、警察は年間500万枚以上の切符を切っている。この「取り締まり」がドライバーの心に、そして行動にどう影響するのかを、心理学の知見を踏まえて検討する。

「うれしいこと」で行動適応を

駐車違反のイメージ(画像:写真AC)
駐車違反のイメージ(画像:写真AC)

 ではドライバーに安全運転してもらうには、どうすればよいのだろうか。先ほど、交通取り締まりは頻度が少ないために(4)の適応行動が起きがちであると書いたが、もっと問題なのは、頑張って安全運転していても、これといって「うれしいこと」がないため、安全行動をやめる方向の(3)の行動適応が進んでしまうことである。

 安全運転に対しては、保険料の引き下げやゴールド免許などのいくつかの「うれしいこと」が用意されてはいるが、こちらも取り締まり同様に頻度が低すぎるし、行動からうれしいことまでの時間が空き過ぎており、十分に行動適応を起こせていないように思う。

 一方で、例えば私たちはハートのボタンをたくさん押してもらいたいために、時間やコストをかけてインスタ映えする写真を撮るなどしている。これは典型的な(1)の行動適応である。つまり、行動の直後に、繰り返しうれしいことが発生するなら、「すごくうれしいこと」でなくても、強力に行動適応を起こせるのだ。

 取り締まりも悪くないとは思うが、ドライバーの日々の安全行動に、ちょっとしたご褒美を、繰り返し与え続けるような仕組みが必要だろう。そうすれば、罰の副作用に苦しむこともなく、みんなが幸せな気持ちで、安全な行動適応をしてくれるのではないだろうか。

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