JR西の長時間閉じ込め 「乗客を線路へ」なぜ即断できないのか

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大雪の影響で、JR京都線の車内に乗客が最大10時間近く閉じ込められた。その背景を過去の列車事故から考える。

「ルール逸脱の判断」責めない社会へ

JR京都駅(画像:写真AC)
JR京都駅(画像:写真AC)

 このような事例が繰り返される背景には、目的を最優先に考えて行動した結果、ルールやマニュアルから逸脱してしまった人に対する組織の、そして社会の不寛容があるのではないだろうか。危機を乗り切るために努力をした人に対して不寛容な社会では、「原則を破って乗客を線路に降ろしたために、けが人や苦情を言う人が出たら、その批判はきっと自分に向くに違いない。それならばマニュアル通りにしておこう」という心理が働くのは当然である。

 さて、今回は原因が雪であったので、判断遅れやためらいがあっても、犠牲者を出すほどの事態には至らなかった。しかし、相手が火災や無差別殺人鬼、津波だった場合、判断の遅れやためらいは命取りになる。

 平時に作られたルールやマニュアルに、やみくもに従うのではなく、乗客の安全を守るという目的のために、最前線の人が臨機応変に、そして即座に最善の判断ができるようにしたい。そのためには、危機を乗り切るために努力した人の背中を押すような社会をつくっていく必要があるだろう。

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