秘境路線「只見線」が11年ぶりの全線復旧 活性化にはオープンアクセス採用が必要だ
絶景を楽しめる“秘境路線”としても知られる只見線が全線復旧した。その活性化策を提案する。
福島県にインフラ譲渡

福島県と沿線の市町村、有識者で構成されるプロジェクトチームが、2017年1月に設立された。会津川口~只見間で上下分離経営を実施しても、帳簿上は経営が改善することになるが、それだけでは利用者は増えない。そこで、只見線を活用した地域振興策に取り組む方針が示された。
会津若松市で2016年11月27日に開催された復興推進会議検討会では、前回の会合で約108億円まで膨らんだ復旧費について、只見町の第8橋梁のかさ上げを行わず、補強工事にとどめれば約81億円にまで圧縮できるとした。そして工期も、4年が3年に短縮できると説明された。復旧費は、JR東日本が3分の1の約27億円を支払い、残りの3分の2の約54億円は、福島県と会津地方の17市町村が支払うことになった。財源は、只見線復旧復興基金から21億円を充当し、残額を福島県が支出する方向で一致した。
年間2億1000万円にも及ぶ維持管理費の公の負担割合は、「福島県が7割、地元17市町村が3割」とする確認書が了承された。
2017年6月19日、JR東日本と福島県の間で基本合意書の締結が行われ、「公有民営」の上下分離経営による鉄道復旧が正式に合意され、会津川口~只見間の復旧工事は、JR東日本が行い、インフラを福島県に無償で譲渡することになった。余談だが、東日本大震災で被災した山田線の宮古~釜石間を、三陸鉄道へ経営移管させる際、復旧費はJR東日本が負担した。
上下分離経営が実施されることから、福島県が第三種鉄道事業者となり、JR東日本が第二種鉄道事業者となる。JR東日本は、福島県へ線路使用料を支払うが、運行経費が赤字とならない価格が設定される。またJR東日本が第二種鉄道事業者となることから、新たに運賃・料金を国土交通省に申請している。