秘境路線「只見線」が11年ぶりの全線復旧 活性化にはオープンアクセス採用が必要だ
絶景を楽しめる“秘境路線”としても知られる只見線が全線復旧した。その活性化策を提案する。
集中豪雨による長期間の路線寸断

2011年7月に発生した新潟県・福島県にまたがる集中豪雨により、小出~会津坂下間の113.6 kmが不通となった。特に被害が大きかったのが、会津川口~只見間の27.6 kmであり、橋梁(きょうりょう)流失などが複数箇所で発生したが、当初は復旧工事が行われなかった。
只見線は、2019年度の運行継続区間で18億8000万円の赤字であり、復旧させたとしても、赤字必至である。それゆえ福島県と新潟県では、廃線になることに対する危機感が強まった。JR東日本は、東日本大震災で甚大な被害を受けたにもかかわらず、2013年の時点でも黒字経営であったため、当時は鉄道軌道整備法による災害復旧の補助金が、国や自治体から支給されなかったからである。
そこで2013年1月に、福島県知事および周辺自治体の首長が、JR東日本に同区間の復旧・存続を要請した。また福島県は、国に対しても財政支援を求めた。
JR東日本は、2013年5月に復旧費用が85億円で、着工から復旧まで4年以上を要するとの見解を示した。また金額が非常に高額になることから、「単独での復旧は困難」として、福島県や沿線自治体の負担について、調整を進めるとした。2014年8月5日に住民説明会が同県金山町で開催され、JR東日本は、福島県と沿線自治体が復旧費の4分の1を負担する意思がある旨を明らかにした。
自然災害で被災した場合、存続するか否かを決める復旧費用の総額は、10億円が1つの目安であったが、福島県や沿線自治体が4分の1を負担したとしても、残りの65億円はJR東日本の負担である。そして同区間の復旧の可否を、2014年10月以降に判断する方針を示した。