秘境路線「只見線」が11年ぶりの全線復旧 活性化にはオープンアクセス採用が必要だ
絶景を楽しめる“秘境路線”としても知られる只見線が全線復旧した。その活性化策を提案する。
「公有民営」の上下分離経営採用

福島県は、只見線の復旧と運転を再開させたく、積極的にPRを行った。これに呼応して福島市に本店を置く東邦銀行が、2013年に「福島県只見線復旧復興基金」へ寄付を行った。只見町観光まちづくり協会もPRだけでは只見線は復旧しないと考え、クラウドファンディングで復旧費を調達しようと、サイトを開設した。福島県の熱意に触発された新潟県も、公式サイトで福島県内における状況をPRした。
福島県と沿線市町村は2015年12月、只見線が運転を再開した際には欠損補助を行う旨を示した。また2016年3月には、黒字の鉄道事業者に対しても、災害復旧事業費の補助が適用可能となるように、政府に法改正を要望した結果、現在では黒字経営の鉄道事業者の線路が被災したとしても、国から4分の1、地方自治体から4分の1の補助金が支給されるようになった。
2016年12月26日に開催された「只見線復興推進会議検討会」では、福島県と沿線市町がインフラを保有し、JR東日本が列車を運行する「公有民営」の上下分離経営を採用する方針が決まった。
上下分離経営を採用することで、JR東日本は、インフラの維持管理費の負担や固定資産税の支払いから解放されるため、会津川口~只見間の年間の赤字額が7100万円に圧縮される。福島県や沿線自治体が、インフラの維持費として、年間で2億1000万円を負担することになり、施設の維持費2億1000万円の負担割合は、2017年1月下旬に第7回検討会議にて協議された。福島県と新潟・会津17市町村で構成する只見線復興推進会議では、鉄道復旧方針の成案を年度内に決めるとした。