赤字ローカル鉄道「税軽減措置」という名の最後通告 人口縮小・経済圏消滅のダブルパンチ、2023年が正念場か?
JRは当初、最大4分の3減免

ローカル鉄道の存続か廃止・バス転換かの問題が広く注目された2022年が終わり、課題は2023年に持ち越された。鉄道事業者と沿線自治体との存廃を巡る協議を強く促した国土交通省だが、その一方で、経営が厳しい路線支援のための固定資産税軽減措置も検討が進められている。早ければ2023年度にも新設される補助金とセットでの軽減措置が実施されそうな公算だ。
公共のためになくてはならない鉄道だが、税金は取られる。例えば車両などは固定資産税の償却資産にあたり、路線の存在する市町村の軌道の単線換算キロ数や走行キロ数で税額が決まる。また、駅舎や軌道の土地も当然課税される。線路外の部分の固定資産税は土地の現況に応じて課税対象となる(駐車場であれば雑種地など)。
法人なので、消費税を本店所在地で申告し、納付する義務もある。ちなみに、鉄道に限らずバス事業者も同様である。公共性が強い鉄道会社も、基本的に税金に関しては、一般企業と仕組みは変わらないのだ。
しかし、額面通りに税金を払っていれば、経営の困難な鉄道会社は、たちまち苦境に陥ってしまう。そこで、さまざまな特例措置での優遇は、これまでも行われている。最大のものは、国鉄分割民営化によってJRが発足した時のものである。JR発足にあたって、国では経営が安定するまでの措置として、大規模な税金の減免を実施した。期限は1996年までの予定だった。
北海道・四国・九州の三島会社は、固定資産税と都市計画税の4分の3を減免、本州の3社と貨物は半額とする措置が取られた。これによってJR各社は経営の安定を図ったが、結果はさまざまだった。
当初の期限であった1996年時点では、JR四国と九州は減免に加えて経営安定化基金の運用が実施されても、なお赤字状態となっていた。JR北海道は、運賃値上げで黒字にはなっていたものの、経営は脆弱(ぜいじゃく)な状態であったし、ドル箱路線の東海道新幹線を持つJR東海ですら、固定資産税をまともに払えば利益が半分吹き飛ぶと、恐れをなす状態であった。
紆余(うよ)曲折を経て、1997年以降は三島会社で固定資産税の減免が継続された、その後、経営合理化が成功したこともありJR九州に対しての減免は2018年で終了したが、北海道・四国・貨物は依然として続いている。現在国土交通省が求めている税制改革要望の中では、北海道・四国・貨物への特例措置の5年延長も記されている。